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金属の中で“分子”が組み替わる― 化学結合・金属性・磁性が連動する新しい電子状態を発見 ―

2026年08月21日

岡山大学
北里大学
総合科学研究機構
J-PARCセンター

◆発表のポイント


  • バナジウム原子が分子のように結び付く状態が、温度低下に伴って二段階に変化する現象を発見しました。
  • すべての状態で金属のままですが、電子の磁気的な応答は各段階で大きく異なることを示しました。
  • 従来の分子形成物質とは異なり、異なる結合状態の競合が金属・磁性と絡み合うことを示しました。

 岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域の小島慶太助教、片山尚幸教授、千葉大学大学院理学研究院、北里大学理学部、総合科学研究機構(CROSS)中性子科学センターおよび中性子産業利用推進センターの共同研究グループは、SPring-81)やJ-PARC2)などの大型施設を用いた研究により、層状無機化合物Li0.5VS2(リチウムバナジウム硫化物)において、金属の中でバナジウム原子どうしが「分子」のように結びつき、その結びつき方が温度によって二段階に変化することを明らかにしました。
 通常、原子が強く結びつくと電子は動きにくくなりますが、本物質では結合の形が変わっても金属状態を保ち、磁気的な性質も大きく変化しました。本研究成果は、化学結合、金属性、磁性が互いに影響し合う新しい電子状態を示すもので、8月24日に米国化学会誌「Chemistry of Materials」に掲載されました。今後、組成や圧力などによって原子間結合を制御することで、新しい量子材料の探索につながることが期待されます。

 


図1 磁化率(青)と電気抵抗率(赤)の温度依存性。

 

◆研究者からひとこと

学生時代から足かけ8年、この物質が示す複雑な磁性と原子配置の変化を追ってきました。今回、不安定な原子間結合の組み替わりが多様な金属状態を生むことを明らかにしました。今後は、この結合を制御し、新しい物性や機能の開拓につなげたいと考えています。
小島助教

■論文情報
論文名:Competing Electron-Deficient σ-Bond Configurations across Successive Structural Transitions in Li0.5VS2
著者:Keita Kojima, Shunsuke Yamamoto, Koudai Sugimoto, Kazuki Iida, Toru Ishigaki, Yukinori Ohta, and Naoyuki Katayama
掲載誌:Chemistry of Materials
DOI:10.1021/acs.chemmater.6c01358
URL:https://doi.org/10.1021/acs.chemmater.6c01358

■研究資金
本研究は、日本学術振興会(JSPS)科学研究費助成事業(課題番号:JP17K17793、JP20H01849、JP20H02604、JP21K18599、JP21J21236、JP22KJ1521、JP23H04104、JP23K03286、JP24H01620、JP24K01329、JP26H00590、JP26H00599、JP26K00019、JP26K00023、JP26K07021、JP26K17087)および科学技術振興機構(JST)共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT、課題番号:JPMJPF2221)の支援を受けて実施しました。

<詳しい研究内容について>
金属の中で“分子”が組み替わる― 化学結合・金属性・磁性が連動する新しい電子状態を発見 ―

<お問い合わせ>
<研究に関すること>
岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域
助教 小島慶太
(電話番号)086-251-7821
<報道に関すること>
岡山大学総務部広報課
(電話番号)086-251-7292
学校法人北里研究所 広報室
(電話番号)03-5791-6422
総合科学研究機構 中性子科学センター 利用推進部広報担当
(電話番号)029-219-5300
J-PARCセンター 広報セクション
(電話番号)029-287-9600