研究ハイライト
磁場により制御可能なカイラル磁性体のトロイダルモーメント
近年、いくつかのマルチフェロイック物質において、トロイダルモーメントが自発的に配列する秩序が発見されています。しかし、これらの材料のトロイダルモーメントを制御することは困難でした。本論文では、中性子非弾性散乱により得られたBaCoSiO4の非常に複雑な磁気構造を、密度汎関数法により得られた有効ハイゼンベルグ・ハミルトニアンより説明できることを示しました。最も支配的な交換相互作用は、格子を3つの副格子に分割します。さらにDzyaloshinskii-Moriya相互作用によってスピンが傾斜することで、副格子がトロイダルモーメントを持つことが明らかとなりました。このトロイダルモーメントは小さな磁場で向きを変えることができるため、外部制御が可能なトロイダル秩序の実現への新たな道を開くものです。
L. Ding, X. Xu, H. O. Jeschke,* X. Bai, E. Feng, A. S. Alemayehu, J. Kim, F. Huang, Q. Zhang, X. Ding, N. Harrison, V. Zapf, D. Khomskii, I. I. Mazin, S.-W. Cheong, H. Cao
Nat. Commun. 12, 5339 (2021) <https://doi.org/10.1038/s41467-021-25657-6>
2021.9.9