配属希望学生の皆さんへ
最終更新日: 2013.2.18

私の専門は、「強相関電子系の高エネルギー分光の理論」です。 遷移金属化合物などの光電効果の理論などを研究しています。詳しい内容について は、これ までの学会発 表のアブストラクト公表論文を 参考にしてください。

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皆さんに望むこと


(注) 以下で書いていることは,かなり一般的な事柄です。
少し読み替えれば,他の研究グループにも当てはまる事柄ばかりです。


皆さんに望むことは教員・先輩と積極的にコミュニケーションを取りながら,前向きな姿勢で,コツコツと,量子力学の勉強・研究を積み上げることができることです。以下で,もう少し丁寧に説明します。

(1)積極性

理論物理を専攻しようというからには、「計算するぞ!」という前向きな姿勢をまず期待します

Roma was not built in a day.
前向きにコツコツと積み上げる努力ができる人ならば大丈夫です。

(2)協調性

ネアカな人,大歓迎! 是非,謙虚に教員や先輩に質問をすることができる人に来ていただきたい。

最先端の研究に触れることができるようになるまでに多くの勉強が必要です。 3年生までの勉強と4年生からの勉強・研究はかなり異なっていると思ってください。
3年生までの勉強は基本的に教科書があり自習だけで乗り越えることもできました。 試験直前の一夜漬けで乗り越えるという離れ業でここまで進級してきた猛者もいるでしょうが, そのやり方が通じるのはせいぜい4年生ゼミで輪読する教科書の勉強までです。そこから先の研究では通じません。
研究では「教科書」がないからです。

それ故に,教員,先輩の知恵を絶対に必要とします。 そのためには,教員,先輩とスムーズにコミュニケーションすることができる協調性が必要なのです。
また,3年生までの勉強では,理解が不十分でも取り敢えず60点以上であれば合格にしてもらえましたが,研究ではそうはいきません。
「自分の卒業研究の中の計算の60%程度は正しいと思う」というのでは研究としては無価値です。
時間をかけてでも100%正しい計算結果を出すのが研究なのです。 100%正しい計算に仕上げるためには,現実的には教員,先輩の助けが必ず必要となります。
したがって,
  「一人でいる方が好きだ。だから個人プレーでできる理論物理を選びたい」
というような考え方は見当違いなので改めましょう。

(3)学力

量子力学の知識が必須です。

岡大の物理学科のカリキュラムでいうと「量子力学T、U、V」を履修していることを求めます。
量子力学Vがまだ未履修であるという人は4年生前期で必ず単位修得してください。 固体物理学1,2,3や統計力学T,Uなどに関しても履修済であることが望ましいですが,未履修科目がある場合は4年生できちんと履修して下さい。

量子力学をどの程度理解できていたら良いのかというのは数量化して示すことはできませんが,まあ,
前向きに勉強に取り組んできた自覚がある人ならば大丈夫
です。 講義の成績が良くなかったとしてもあまり悲観的になり過ぎる必要はありません。 上でも書いたように,「時間をかけて100点の計算結果」に仕上げることができれば良いのです。 教科書,文献を参考にしながら,教員,先輩のアドバイスを参考にしながら,計算を進めることができれば良いのです。 前向きに量子力学に向き合える姿勢こそが大事です。

(4)自己管理

理論系研究室の学生にとっては,終日,研究室の机で勉強するのが基本です。

実験系研究室において実験に費やす時間を理論系研究室ではデスクワークに費やす,それだけのことです。 (もちろん,アルバイトがある日は早く帰宅しても構いません。)

特に大学院生になると手計算,原著論文読解,コンピュータ・プログラミングを終日,研究室の机でするのが学生の研究室における日常です。 やはりそれなりの忍耐力が必要となります。これは(3)協調性とも関係します。 研究室で勉強することの意義はやはり先輩,教員と密にコミュニケーションを取り,勉強・研究を捗らせることです。 是非,研究室の机で勉強する習慣を身につけて下さい。
  「理論物理は個人プレーだから,研究室へは自分勝手な時間に行けば十分だ」
なんて言っている人の大半は自己管理ができない人です。 そういう人は,まず自分の生活態度を見直して「普通の生活」を送ることができるようにしましょう。

(5)自立

「自立する」ということにこだわっていただきたいと思います。

いつまでも言われたことだけをするというのではいけません。それでは「生徒」です。 「生徒」から「学生」へ脱皮して下さい。即ち, 自分で研究分野の動向を探り、どういう研究に価値があるのかを判断する力を身につけるということが重要です。 大学、大学院で学ぶ個々の知識は必ずしも就職先でそのまま役に立つとは限りませんが、「自立した研究態度」というのはどういう分野に進んでも通用するものです。


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3年生までの勉強と4年生からの勉強・研究はかなり異なっているということを分かっていただけましたか? 研究室配属後の具体的な事柄については、私の部屋を訪ねて直接質問してください。

(注)院進学に際して,研究室を移籍するのは皆さんの自由です。権利です。
取り敢えず卒業研究では理論系研究室に属してみたが,実験系研究室の方が自分には向いているな,と思ったら躊躇せず移籍して下さい。 理論系研究室でしっかり理論的な基礎を固めてから実験系研究室で修士論文研究に取り組むというのは前向きで良い選択です。 もちろん,その逆方向の移籍もあり得ます。 「院試で移籍すると,卒業までの半年間,今の研究室に居辛くなる」と考えるのは杞憂です。 学生がハッピーになれることは教員にとってもハッピーなのです。 学生が無理をして研究室に居続けても教員は何も嬉しくありません。 気楽に相談して下さい。 院入学と同時に移籍するのが通常のパターンですが,院試合格直後から他研究室で卒論研究をしたいという場合も相談に乗ります。

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■ これまでの所属院生の研究 ■