専門用語集


あ行
朝バイ(あ さばい)
我が家では、朝のバイオリン練習のことを「朝バイ」と呼ぶ。何でも略したがる長男の造語。他に、「夕バ イ」、「朝ピア」というような類語もある。特に商標登録はしていないので,遠慮なく使っていただきたい。
ただし,「夜バイ」・・・・は健全な青少年がすることではありません・・・・・・ん?そりゃあ,「夜這い」じゃ。

A線(あー せん)
ここは「えーせん」と読まず,ドイツ流に「あーせん」と読むのがカッコいい。
バイオリンに張られている4本の弦の中で2番目に細い弦。ビオラで は一番細い弦。
弦を張った状態で「ラ」,すなわち「A」の音になるように調弦するのでこう呼ぶ。
高校物理では「ラ」は440Hzと習うはずであるが,通常,弦楽器奏者は442Hzに調弦する。
参考:C線

おっつ

私の娘が言葉を覚え始めて,しばらくの間,私のことを「おっつ」と呼んでいた。
なぜ,そう呼ぶようになったか,わからない。
今では娘は昔私のことを「おっつ」と呼んでいたこと自体を覚えていないようである。
ちょっと寂しい。

重い電子(おもいでんし) heavy electron
電子の質量に重い,軽いがあるの???そんなわけがない。電子の静止質量は9.1×10-31kgと物理学事典に書いてある。
「重い電子」というのは,ある種の物質内においては,見かけ上電子が重く見えている,ということなのです。
あなたが通勤電車内を歩いて移動する場合を考えて見ましょう。すし詰め状態の電車内を移動しようとすると,他の人が邪魔になって思うように動けませんよ ね。まあ,電子がそんな感じで固体内を動きにくくなっている状況を「重い電子」なんて表現するわけです。
専門的には「有効質量」が増大していると言います。




か行
外殻(が いかく)
原子番号が大きい原子では,原子核のまわりを周回する電子が沢山あります。そのような電子を軌道半径で分類していくことができます。そのひとかたまりの軌 道を総称して殻(shell)と言っています。K殻,L殻,M殻,・・・・って高校で習いましたよね。軌道半径が比較的大きいものを外殻と言います。内殻の反対語。
内殻と外殻の境界はどこか?
相対的な言葉ですが,まあ,漠然とこれらの言葉を使うときは,大まかに言って,原子間の化学結合に関与する価電子が占める殻を外殻と考えて良いのではないしょうか。

カイザー
Kaiserと書けば「ドイツ皇帝」になるが,Kayserと言えばバイオリンの教則本を指す。ビオラ版もある。
第1番はなかなか良い曲なのだが,それ以降は結構ハードなものが多い。私は苦労している。いつ終われるのか見当がつかない。


価電子(か でんし,valence electron)
分子や固体内において、構成原子間の化学的な結合を直接的に担っている電子。
なんでもいいから2個の原子を想像してみてね。原子間の距離を小さくするとどうなるでしょう?
各原子内の外殻電子軌道が重なり合うようになってきます。すると、電子は一方の原子の電子軌道か ら他方の原子の軌道へ飛び移れるようになってきます。「化学結 合」の出来上がりです。このように化学結合に関与している電子のことを価電子と呼びます。


緩和過程(か んわかてい)
励起状態にある物質が光を発したりしながらエネルギーが低い状態へ移り変わっていくプロセス を緩和過程と言います。



基底状態(き ていじょうたい)
絶対零度における物質の状態のことを基底状態と呼びます。
その物質にとって最もエネルギーが低くなっている状態のことです。


機能性材料(き のうせいざいりょう)
ある物質が室温で金属であったとしましょう。つまり,電流が流れるわけです。さて,その物質の温度を下げていったらある温度で絶縁体になってしまったとし ましょう。電流はもう流れません。こんな物質は何の役に立つでしょうか?
そうですね,例えば,温度センサーに使えそうですね。
まあ,こんな調子で,その物質がもっている性質そのものがなんらかの実用的な機能として役に立てばハッピーですよね。こういう物質を機能性材料と呼ぶわけ です。
ちなみに,温度の上下により金属状態と絶縁体状態を行き来する現象を「金属・絶縁体転移」と言います。

クーロン相互作用(クーロンそうごさよう)
高校物理で「クーロンの法則」というのを習いますよね。あれですよ。
つまり,真空中で二つの点電荷Q,Q'が距離Rだけ離れて存在しているとき,二つの点電荷の間にはR2に反比例し,電荷の積QQ' に比例した大きさの力がはたらく。

倉ジュニ(く らじゅに)
倉敷ジュニア・フィルハーモニー・オーケストラの略。
私の子供が属しているので,是非,皆さんも定期演奏会に足を運んであげていただきたい。
プロの指揮者,トレーナーにより鍛えられているので,並みのアマ・オケより上手だと思う。
ちなみに,「岡ジュニ」は岡山ジュニア・オーケストラの 略。


高温超伝導体(こ うおんちょうでんどうたい)
超伝導体とは,十分に冷やしてある温度TC以下でその電気抵抗がゼロになってしまうような物質のことを指します。
どれぐらい冷やせばよいかというと,家庭の冷凍庫で冷やす程度ではダメで,レストランの厨房にある強力そうな冷凍庫でもやっぱりダメです。絶対零度が- 273℃ですがその温度に近いところまで冷やさないとダメです,多くの場合は。
ところが,1990年頃に比較的高いTCを持つ物質 群が発見されて高温超伝導体と名づけられました。ただし,高温といっても,室温 と比較すればはるかに低い温度であることには変りありません。
TCが室温並みに高い物質の合成に成功したら、・・・・そのときは、 あなたは 間違いなく一生遊んで暮らせるでしょう。



光電効果(こ うでんこうか, photoelectric effect)
高校物理で習ったアインシュタインの話は覚えているかな?
金属表面に紫外線を当てると,その表面から電子が飛び出てくるという話。光電効果って、このことよ。
飛び出てくる電子のことを光電子って言うんだったよね。
より一般的には,物質に電磁波を当てたときに電子が飛び出てくる現象,ということになりますね。この場 合,「物質」は金属にこだわりません。絶縁体,半導体,液体,ガス,生体,・・・何でも実験対象です。

光電子放出(こうでんしほうしゅつ, photoemission, photoelectron emission)
要は光電効果のこと。を物質に当てると電子 が物質から放出される現象。飛び出てくる電子を光電子と呼ぶ。
業界筋の人は「光電効果」より「光電子放出」という言葉を好んで使う傾向がある。なぜかよく判らないが。




さ行




遷移金属化合物(せ んいきんぞくかごうぶつ)
遷移金属元素(transition metal element)と他の元素でつくる化合物のことです。CuO, NiOなどの酸化物,CuSのような硫化物,・・・・いろいろあります。
3d遷移金属にはSc, Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Znがあります。
4d遷移金属にはAg(銀)なんかも含まれます。



た行


多重項相互作用(た じゅうこうそうごさよう)
本質的にはクーロン相互作用のこと。
原子を周回する電子間のクーロン相互作用の強さを考えると,その電子軌道の形状がいろいろあるので,対象とする電子によって微妙にクーロン相互作用の大き さが変ってしまうわけ。そのあたりの事情を正確に記述しようとなると,クーロン相互作用を多重極展開したりちょっと数学的に面倒な計算が必要なわけね。そ れは専門書を読んで勉強してね。

地名しり取り(ち めいしりとり)
我が家ではポピュラーな「しり取り」。地名を使って行う。
外国の地名も使う場合は,最後が「ん」で終わる地名を言っても良いことにしておかないとす ぐにゲームが終わってしまう。最後が「ん」で終わった場合はその直前の文字に繋げるようにして遊ぶと良い。ゲームを始める前に「ら行」,特に「る」から始 まる地名を大量に調べておくと有利。
我が家では,他に「食べ物しり取り」とか「音楽しり取り」などもポピュラーである。
時間を潰したい時は「食べ物しり取り」がお勧めかな。新種の料理をOKにしておくと,2,3時間は楽しめるな。
帰省など,長距離ドライブの際に楽しんでいただきたい。

C線(つぇー せん)
「しーせん」とは読まず,ドイツ語流に「つぇーせん」と読みたい。
ビオラに張られた4本の弦の中でもっとも太い弦。この弦はバイオリンに はない。
この豊かな響き!バイオリンから転向した私は,特にこの弦を鳴らすとき至福を感じる。
結構値段が高いのが難点。
参考:A線

電荷移動効果(で んかいどうこうか)
ここでいう電荷というのは電子が持っている電荷のことを意味しているので,「電子が移動する効果」ということになるね。
原子内,あるいは分子内,固体中の電子って,お互いにクーロン相互作用を及ぼし あいながら微妙なバランスで自分の居場所を決めているわけね。もし,突然な んらかの理由で電子1個が取り除かれたらどうなるかな?当然,その微妙なバランスは壊れるわけね。すると,安定状態に達するべくもう一度電子の再配置が始 まるわけ。ある原子内だけで電子の再配置が終わってしまう場合もあるでしょうし,離れた原子上の価 電子まで巻き込んで再配置が起こる場合もあります。後者の ケースが結構重要だったりするので,「原子間の電荷移動の効果」と言ったりするのです。


電子系(で んしけい)
電子の集まりのことを「電子系」と呼びます。純粋に電子の集まりだけを考えて,その集合がどのような性質を持つかということを議論するようなこともあると 思いますが,ここではそういう純粋な電子系のことを言っているわけではありません。
物質を構成する原子は原子核と原子核のまわりを周回する原子から成っています。物質のいろいろな性質を知ろうとするとき,それらの周回電子、特に価電子の 性質を知らな ければなりません。それで,価電子たちのことを調べるぞ!っていう気持ちになるために「電子系」なんて書いて強調するようになっているのです。


電磁波(でんじは)
電波と磁波を合わせて電磁波(electromagnetic wave)。
電線に交流電流を流すと(荷電粒子が加速度運動をすると)電磁波が発っせられるわけです。
振動数が低い方がラジオ波(俗に言う電波)で、高くなるに従ってマイクロ波、赤外線、可視光、紫外線、X線、γ線、という具合に分類されます。が、物理屋 さんたちは、単に「」の一言で総称してしまうことがあります。




な行


内殻(な いかく)
内閣ではありません。内殻です。外殻の反対語。
たとえば,Cu(銅)は原子番号Z=29なので,その原子核のまわりを29個の電子が周回していることになります。その周回軌道半径はいろいろです。原子 核の極めて近いところをまわっている電子もあれば,そうでない電子もあります。比較的大きい軌道半径の電子を外殻電子(価電子)と呼び,軌道半径が小さい電子を内殻 電子と呼びます。
何で「殻」なのかって?
それは,いろいろな軌道を分類してひとまとめにするときにshell(殻)という言葉を使ったからです。高校ではK殻,L殻なんて言葉を習ったでしょ!量 子力学を習った人は軌道角運動量量子数と関係があるってことは覚えてるよね。
Cuなら3d,4s電子が外殻電子で,それ以外は内殻電子ですな。



は行


バイオリン(ヴァ イオリン,violin)
4本の弦を張った木箱の一種。馬の尻尾を張ったで弦を擦って音を出す。
この世でもっとも高価な木箱は「ストラディバリウス」であろう・・・多分。
安いバイオリンはヤフオクで数千円で手に入るかもしれないが, そういう代物を買うと必ず後悔する。
まあ,練習用であっても10万円ぐらいは投資したいところだ。


(ひかり)
電磁波のこと。狭い意味では「可視光」をさす。
量子力学では、「光子」(photon)といわれます。「みつこ」ではありません。「こうし」です。


ビオラ(ヴィ オラ、viola)
これは私の趣味バイオリンより一回り大きい楽器。
この「一回り」が結構曲者。豊かな音を出すためには可能な限り大きいビオラを 持ちたいところであるが,そこは自分の体格,腕の長さとの相談である。私のビオラは胴長 が約41cmなので標準的なサイズよりやや大きい。そのため妻は私のビオラを弾くことが出来ない。
私のビオラの師匠は,「胴長40cm以下はビオラではない」と容赦なく言う。確かに,C線の鳴りを比べ ると胴長の差は歴然であるが。
Viola Fan Club
Viola Web Site
スミレ属にビオラという名前の植物があるそうだが,私は良く知らない。


ビブラート(ヴィ ブラート)(伊:Vibrato)
弦楽器の弦を押さえた左手を前後させて指の第1関節をペコペコさせ,音程を微妙に揺らせることにより音に表情をつけること。
2006年3月現在,私はまだビブラートの基礎練習中である。なかなか免許皆伝への道は険しい。
ちなみに,私のビオラの師匠は結構ビブラートにうるさい。学生オケでバイオリンをはじめた人が先輩直伝で習得したような類のビブラートには,特に手厳し い。大きく深いビブラートをかけることができず,単に手をブルブル震わせているだけだと酷評する。師匠はそれを「縮緬ビブラート」と呼ぶ。確かに,ビオラ は楽器自体が大きいのでビブラートを大きくかけないと全然ビブラートとして聞こえない。

物性(ぶっ せい)
「物質の性質」を略して「物性」。分かったかな?
電気的な性質,熱的な性質,磁気的な性質,・・・いろいろな側面がありますがそういうのを総称しています。


ペグ
バイオリンやビオラに弦を張る際に,弦の一端を巻きつけておく「糸巻き」のようなパーツ。
ペグを回して弦の張り具合を変えて,音程を整える。

私の娘はペグを折ってしまったことがある。
娘が中学1年生ぐらいの頃,弦の張替えを娘に任せたら,ペグを折ってしまった。折れたと言うより,木の年輪に沿って剥がれるように割れたという感じかな。 と にかく,弦をペグに逆向きに巻きつけた上,強引に調弦しようと力任せにペグを回してしまったようである。弦を反対向きに巻く可能性があることは想定内だっ たのだが,ペグが折れてしまったのは想定外であった。どのように巻かれていたかを見てから弦の交換をすればこんなことにはならずに済んだのだ が,・・・・。こうして娘の注意力が暴露されてしまった次第である。



ま行






や行


(ゆみ,bow)
ここで言う弓は,当然,バイオリンビオラなどの弦楽器を鳴ら す手段としての弓である。
通常Perunambucoという名前の木材で作るが, 良いPerunambuco材が枯渇気味とか。従って,良い弓は高い。
私のビオラの師匠は10万円以下の弓は「木の棒」と呼んで見下す。なかなかストレートな表現である。

少し前に,試しに私はCodabowというカーボン弓を数万円で通販で買ってみたが,まあまあだったぞ。Perunambucoの弓の音と比べると,高調 波成分がやや少なくて,ちょっと淡白な感じかな。でも,腰がしっかりしていて弾き易い弓で,値段の割には良い買い物をしたと思っている。10万円以下で買 うならカーボン弓の方がコストパフォーマンスが高いというような評をどこかで読んだことがあるが,肯けるな。貧乏人には良い選択かもしれない。





ら行

リズム練習(り ずむれんしゅう)
私のビオラの師匠の口癖。
どうしても速いパッセージが弾けないとき、これをやると乗り越えることが出来るようになる(ことがある)。


励起(れ いき)
「励起する」は英語のexciteの訳語です。exciteって興奮させるってことね。物質をハイな状態にしちゃうわけです。
たとえば,熱を加えたりするわけね。


励起状態(れ いきじょうたい)
これはexcited stateの訳語です。興奮した状態ってことですね。基底状態外の状態はすべて励起状態です。 絶対零度より高い温度における物質の状態はすべて励起状態と 言えます。あるいは,基底状態にある物質にを当ててやると,光が物質に吸収されてその物質は基底状態では ないよう状態に変化してしまうことがあります。 そういうような状態も励起状態の一つです。




わ行