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令和 3年度(2021年度)第4回 物理教室談話会

題目 新奇強誘電体の非線形光学応答と光励起ダイナミクス
講師 沖本洋一 氏 (東京工業大学)
日時 令和3年12月9日(金) 16:30~
場所 オンライン
概要  新規な発現機構による強誘電体の開発は現代物性科学の重要なテーマになっている。今回のセミナーでは、そのような例として近年注目されている二種の新奇強誘電体における非線形光学応答(特に第二次高調波発生, SHG)と、それを利用した電子状態・光励起状態についての研究結果について講演する。
 一つ目は三角格子型複合鉄酸化物。この系は、鉄イオン中の電子の秩序によって反転対称性が破れ室温で強誘電性を示す物質であり2005年に発見された。最初にSHGの偏光依存性の測定から本系の極性構造を明らかにした後[1]、鉄イオン間のd-d遷移やテラヘルツ電場励起を行ったとき、系の強誘電性がどのようなダイナミクスを示すのかについて議論する。
 もう一つは、プロトンの整列・秩序を起源とする有機強誘電体である。これは、プロトン化したジピリニルピラジン(Hdppz)分子と脱プロトン化したクロラニル酸(Hca)分子が水素結合してできた共結晶(Hdppz-Hca)であり、室温で動作する有機強誘電体として近年注目されている[2]。この系のプロトン振動を光励起したときの強誘電性の実時間変化が、SHG測定からどのように見えるのか[3]について講演する。

[1] K. Fujiwara, Y.Okimoto et al.,Sci. Rep. 11, 4277 (2021).
[2] S. Horiuchi et al.,J. Am. Chem. Soc. 135, 4492 (2013).
[3] T. Umanodan, Y.Okimoto, et al., J. Phys. Soc. Jpn. 88, 013705 (2019), (Journal of editors’choice)
世話人 池田 直(内線7810)