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平成29年度(2017年度)第9回 物理教室談話会

題目 量子コンピュータと量子アニーリングの基礎と最先端
講師 川畑史郎 氏
(産業技術総合研究所ナノエレクトロニクス研究部門)
日時 平成29年12月12日(火) 16:30~
場所 理学部21講義室 (理学部1号館2階)
概要  最近、新聞やWebなどの様々な媒体で量子コンピュータや量子アニーリングといったキーワードが世間を賑わしている。これらのマシンは、量子力学原理を積極的に情報処理に利用したコンピュータである。つい数年前まで、これらが商用化するのは遠い遠い未来の話と思われていた。ところが、2011年にカナダのベンチャー企業D-Wave Systemsが「量子アニーリングマシン」を製品化し、2013年にGoogle、NASA、ロッキード・マーティンに販売した。つまり量子力学原理に基づく計算機は既に商用化されているのである。量子アニーリングは、量子揺らぎを制御することによって組合せ最適化問題を解く手法であり、東工大の西森秀稔教授によって1998年に提唱された。組合せ最適化問題は、農業、創薬、人工知能、金融、製造、運輸、教育等のありとあらゆる産業分野において現れる。そのためD-Wave Systemsによる商用化以降、世界の名だたる企業がこの分野にぞくぞくと参入するようになってきた。それに対し、量子コンピュータは汎用量子コンピュータとも呼ばれ、あらゆるコンピュータの上位互換として位置づけけられる。さらに、汎用量子コンピュータを用いることで因数分解、機械学習、量子化学計算等が高速処理できることが理論的に示されている。そのためGoogle、マイクロソフト、インテル、IBMなどの世界的大企業がその商用化に向けた研究開発を行っている。本セミナーにおいては、量子コンピュータと量子アニーリングの基礎から最新の研究・ビジネス展開までできるだけ平易に解説を行う。また、産総研で進められている超伝導量子アニーリングマシンの研究開発についても紹介を行う。
※ 超伝導の応用の一つである量子コンピューター・量子アニーリングについて、学部学生にも 理解できる内容で お話いただきます。
教員だけでなく、大学院生・学部学生の参加も期待しています。
世話人 市岡優典(内線:7806)