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平成28年度(2016年度)第6回 物理教室談話会

題目 大質量・低金属量星によるブラックホール形成と背景ニュートリノ・背景重力波
講師 中里健一郎氏
(九州大学・基幹教育院)
日時 平成28年8月30日(火) 16:20~
場所 コラボレーション棟3Fコラボレーション室
概要  太陽の約10倍以上の質量を持つ恒星は、その進化の最後に重力崩壊を起こすと考えられている。多くの場合、その結果として超新星爆発が起きるとされて いるが、質量の大きい星などでは超新星爆発を起こさずにブラックホールになる可能性も指摘されている。特に低金属量の環境下では恒星進化の段階での質 量放出の効果が小さいため、質量が大きいまま重力崩壊を起こしてブラックホールになる星もあると考えられている。こうしたブラックホールになる星が、 宇宙の各時代にどれほどあったかを見積もるには、宇宙の星形成率の進化だけではなく、金属量の進化についても考慮する必要がある。 われわれは銀河の観測に基づく星形成率・金属量からブラックホール形成率を見積もり、超新星背景ニュートリノ・連星合体による背景重力波の計算に応用 した。
 超新星背景ニュートリノとは、過去に起こった超新星爆発から放出されたニュートリノによる背景放射であり、超新星爆発を起こさずにブラックホー ルになる場合でも、同様にニュートリノが放出されると考えられている。一方、ブラックホールの連星が合体すると、最近 LIGO による観測で話題になった ように重力波が放出されるが、過去に起こった合体からの重力波はやはり背景放射となり、これを背景重力波と呼んでいる。
 今回のセミナーでは、以上に述べた最近のわれわれの研究について紹介したい。
世話人 作田 誠(内線:7822)