研究ハイライト
動的平均場理論による多体量子計算を行うオープンソースソフトウェア
化合物の物性研究に第一原理計算は欠かせません。密度汎関数理論に基づく第一原理計算を利用すると、化合物の組成や結晶構造から物質の電子構造が即座に計算できます。しかし、強相関電子系と呼ばれる物質群では、密度汎関数理論による計算が実験を再現しないことが知られています。それらの物質で重要となる電子間のクーロン相互作用による「量子多体効果」が正しく考慮されていないからです。動的平均場理論(DMFT)は密度汎関数理論で足りない量子多体効果を取り入れることができる方法論で、近年その需要が高まっています。
我々のグループは、様々な第一原理計算ソフトウェアの結果から動的平均場計算を行うことができるソフトウェアDCoreの開発に携わっています。このソフトウェアはオープンソースとして公開されており、誰でも使用もしくは改造することが可能です。このようなソフトウェアの開発も重要な研究のひとつです。
H.Shinaoka, J. Otsuki, M. Kawamura, N. Takemori, K. Yoshimi
SciPost Phys. 10, 117 (2021) <https://doi.org/10.21468/SciPostPhys.10.5.117>
2021.5.27