平成18年度 第4回
物理教室談話会


題目 パイロクロア酸化物におけるラットリングと強結合超伝導
講師 東京大学物性研究所 廣井善二 教授
日時
平成18年12月14日(木)17:00-
場所 コラボレーションセンター 3階 コラボレーション室
岡山大学津島キャン パス内
要旨
 
β型パイロクロア酸化物AOs2O6(A=Cs, Rb, K)は,それぞれ3.3K, 6.3K, 9.6KのTcを有する超伝導体である. 最近の研究から,その超伝導特性はCsからKに向かってTcが上昇するとともに弱結合から極端な強結合へと 変化することがわかってきた.KOs2O6における超伝導特性の解析から, その超伝導機構に関係していると思われるフォノンの平均エネルギーは 60Kと見積もられた. このような低エネルギーフォノンの候補として考えられるのがアルカリ金属イオンのラットリングである. ラットリングとは比較的大きな籠の中に位置している原子が非調和振動をするものであり, 従来の原子振動には見られないタイプの低エネルギー励起を与えると期待される. ラットリングの特性エネルギーはアルカリ金属イオンのイオン半径が小さくなるに従って低下し, つまり原子量が小さくなると下がるということになり,従来のフォノンとは正反対の傾向を示す. ラットリング現象の本質とその超伝導への寄与について議論する.
世話人 理学部物理学科 小林 達生 (内線7826)



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