平成15年度 第10回
物理教室談話会


題目 μ→ e  + γ  崩壊の高感度探索実験
講師 真木 晶弘 氏
(高エネルギー加速器研究機構 教授)
日時 平成15年11月20日(木) 14:20-15:50
場所 コラボレーションセンター 3階 コラボレーション室
岡山大学津島キャン パス内
要旨
 永年にわたる膨大な検証実験に耐えてきた素粒子の標準理論も、よう やくそのほころびの徴候が見え始めた。それは検証実験の主流であったハドロンセクターではなく、レプトンセクターのニュートリノ振動に現れた。ニュートリ ノでは世代間の混合が最大限に生じていることが判明した。これがどのような新しい物理によるのかは、今後の素粒子物理学研究の最重要テーマである。
 レプトンフレーバー数を破る反応はいくつかあるが、μ→ e  + γ 崩壊や τ→ μ+γ 崩壊のような、荷電レプトンの崩壊は、標準理論で期待される分岐比が極めて小さい上に、超対称性大統一理論のような、標準理論を越える新しい理論では現在 の実験下限値に近い分岐比が期待される。
 μ→ e  + γ 崩壊を現在の実験下限値よりも2桁以上の高い感度で探る研究が、わが国のグループを中心とする国際研究グループ(MEG)によって進められている。実験は スイスのチューリッヒ郊外にあるポールシェラー研究所において進められており、2005年からのデータ収集が予定されている。本談話会では、この実験の計 画と現状、特に日本グループが開発を進めてきた液体キセノンカロリメータを中心に報告する。



 
世話人 理学部物理学科 中野逸夫 (TEL: 086-251-7817)



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