平成14年度 第4回
物理教室談話会


題目 異方的超伝導体における磁気トンネル効果の研究
講師  田沼 慶忠  氏    (岡山大学大学院自然科学研究科特別研究員)
日時 9 月 3 日(火)10:30 - 12:00
場所 コラボレーションセンター 3階 コラボレーション室
岡山大学津島キャンパス内
要旨  異方的超伝導体のクーパー対の対称性を調べることはメカニズムや発現機構を知る上でも重要な研究である。異方的超伝導体の典型的な物質として、銅酸化物高温超伝導体があり、そのクーパー対の対称性はd x2-y2-波(d波)であり、今日の異方的超伝導体における研究の模範となっている。近年、新奇な超伝導物質が数多く発見され、それらの物質がどのようなクーパー対の対称性を持っているのか、多くの研究者によって興味が向けられている。異方的超伝導体におけるトンネル効果の研究はペアポテンシャルのノードだけでなく符号変化を検証できるアプリケーションとして成功を収め、銅酸化物高温超伝導体がd波超伝導体であることを確立し、大きな役割を果たしてきた。しかしながら、トンネルスペクトルは超伝導体の表面のラフネスやその物質のフェルミ面の形状に強く依存し、ペアの対称性を決定することは容易ではない。そこで、我々は従来のトンネル効果の理論を越えるin situな方法を求め、磁場中のトンネルスペクトル、即ち磁気トンネル効果からペアの対称性の決定する手法を提案する。この発表では、有機超伝導体 (TMTSF) 2X、 k-(ET)2XやSr2RuO4のような異方的超伝導体を取り上げる予定である。

  
世話人 理学部物理学科 味野道信  (TEL: 086-251-7823)



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