平成13年度 
物理教室談話会


題目 MEM/Rietveld 法による
精密構造物性の研究
講師 高田昌樹  氏    (名古屋大学 大学院工学研究科)
日時 6 月 27 日(水)16:00 - 18:00
場所 コラボレーションセンター3階 コラボレーション室
岡山大学津島キャンパス内
要旨 近年、MgB2超伝導体をはじめ、フラーレン関連物質、巨大磁気抵抗効果を示すCMR関連物質等、様々な新奇構造及び物性を示す物質の創製が盛んに行われている。それらの物質科学研究の基盤をなすものとして、“物質の物性と関連した構造”を明らかにする構造物性の研究の役割が重要になってきている。我々は、新奇物質の物性と構造の精緻な関係を明らかにするためには、単なる原子配列としての構造情報だけではなく、物質の電子の分布までの精密な構造情報が必要と考え、この10年間、物性と関連した電子密度レベルでの精密構造の研究、すなわち「精密構造物性」の研究手法としてマキシマムエントロピー法(MEM)を用いた電子密度解析法と、それに適したX線回折実験法の開発研究を行ってきた。その過程において、1995年にMEM/Rietveld 法という粉末X線回折データを用いる新しい精密構造解析法を開発し、金属内包フラーレンの構造解析に成功した。この成功には、放射光という強力なX線源を用いた高分解能粉末回折法が非常に大きな役割を果たした。その後、MEM/Rietveld法により放射光粉末回折データからフラーレン、ゼオライト化合物、金属間化合物、マンガン酸化物等の様々な物質の電子密度を明らかにし、この方法が、精密構造物性の研究に、非常に強力な手段であることを示してきた。講演では、このMEM/Rietveld法について簡単に紹介し、金属内包フラーレン、マンガン酸化物の研究成果を中心に、MEM/Rietveld法による精密構造物性の研究の一端を紹介する。
 
  
世話人 理学部物理学科 大嶋 孝吉   (TEL: 086-251-7827)



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