自然科学研究科 特別講演会
(共催:平成12年度 第13回物理教室談話会)


題目 中性子・放射光X線散乱の相補的利用によるスピン・電荷・格子結合系の研究 
ーNaV2O5 を中心としてー
講師 藤井 保彦 氏
東大物性研
日時 平成12年12月15日(金)16:00−17:30
場所 コラボレーションセンター3階 コラボレーション室
岡山大学津島キャンパス内
要旨 NaV2O5には当初2種類のVサイト、V 4+(S=1/2)とV 5+(S=0)があり、TC=35K以下でスピン・パイエルス状態が実現していると思われていた。しかしその後 T>TC ではV +4.5 の電荷無秩序状態であり、スピン構造的には quarter-filled spin ladder 系であること、TCではスピンギャップ形成・原子変位・電荷秩序が同時に起こる珍しい物質であることが明らかになった。我々は、中性子散乱により磁気励起、X線散乱により原子変位、また放射光X線によるV原子の吸収端を利用した異常散乱により電荷秩序を決定し、この物質の全容を明らかにした(常圧)。
 一方、この物質の低温・高圧下での放射光X線散乱実験により、原子変位変調波数(電荷秩序と結合した)が ANNNIモデルで予言される"悪魔の花"のような振舞いを示し、系統的な高次整合相が出現することを観測した。これは競合する相互作用によるフラストレーションに起因するものであるが、NaV2O5における微視的相互作用に興味が持たれる。
連絡先  澤田昭勝(内線7810)
岡田耕三(内線7807)


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