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神戸 研究室
芳香族有機超伝導体の発見    新規フラーレン磁性体・超伝導体の開拓
電荷秩序系鉄酸化物の磁気・誘電特性の研究    極低温・高圧下電子スピン共鳴(ESR)装置の開発
キーワード :  有機分子磁性・超伝導

 
芳香族有機超伝導体の発見
ベンゼンリング5個から構成された有機芳香族分子ピセンへのアルカリ金属原子(KおよびRb)ドーピングにより超伝導転移温度20 K(マイナス253℃)の新しい有機超伝導物質を発見しました.この超伝導転移温度は,有機物としては世界最高の転移温度です.このピセンは従来より良く知られており,このような有機化合物において超伝導が発現したのは,これまでの常識を打ち破る新しい発見です.この結果は,3月4日付の Nature(冊子版及びオンラインジャーナル版)において公表されました.
http://www.nature.com/nature/journal/v464/n7285/fp/nature08859_ja.html

picene1    picene2
ピセン分子                                     ピセン結晶構造            

新規フラーレン磁性体・超伝導体の開拓
次世代炭素系材料の中核物質としてフラーレンやカーボンナノチューブなどが注目されています.フラーレンC60は,非常に対称性の高い分子であり,その電子軌道に多くの縮退を持ちます.また,フラーレン分子上の電子間に働く電子相関は比較的強く,縮退した軌道と電子相関の効果により,磁性や超伝導など興味深い物性が現れます.

(1)新規フラーレン磁性体,超伝導体の開拓

(2)C60の軌道秩序に起因した磁気相互作用と強磁性の発現のメカニズム
C60化合物の中で,テトラキスジメチルアミノエチレン(TDAE)−C60という物質が示す強磁性状態(磁石につく)に注目しています.この物質は鉄などの金属元素は含まず,炭素(フラーレン)と酸素および窒素,水素のみから構成された分子性磁性体です.強磁性に転移する温度は,現在までに見つかっている分子性磁性体の中でも最も高く,その磁気機能出現の機構を明らかにすることは,有機分子性化合物を用いた磁気デバイスやメモリーの開発に有効であると期待されます.
フラーレン磁性体の示す磁性機構の解明を目指して,結晶構造と磁性に注目し研究を行ってきました.その結果,フラーレン磁性体の磁性が,その特有な結晶構造,特にフラーレン分子の配列に敏感であること,分子配列の異なる結晶では強磁性状態から反強磁性状態(磁石につかない)へ転換しうることなどを明らかにしました.特に,この物質の(組成は同じで結晶構造が異なる)多形結晶が示す磁性に関して,米国物理学会速報誌Physical Review Letters (99号, 177205頁,2007年)に掲載されました.また, この論文は併せてVirtual Journal of Nanoscale Science & Technology (11月 5日号, 2007年)に選出され掲載されました.

c60


電荷秩序系鉄酸化物の磁気・誘電特性の研究
RFe2O4(R;希土類)に代表される鉄酸化物では, 秩序化した電子群が誘電体と同じ特性を持ち「電子誘電体」とも呼ばれています.
これらの材料では,磁気転移が起こる温度付近において, 誘電性と磁性との間に強い相関効果が現れます.
この効果を利用して磁場による電気分極の制御や,電場による磁化の制御を目指した研究を行っています.
この研究は池田教授との共同研究です.

極低温・高圧下電子スピン共鳴(ESR)装置の開発
ヘリウム3を用いた極低温ESR 装置
温度範囲:0.5K-300K
周波数:1-3GHz(Loop-gap resonator),X-band(9GHz),Q-band(32GHz)
ダイアモンドアンビルセル(DAC)を用いた高圧ESR装置
開発中

ヘビーフェルミオン系 YbRh2Si2 の極低温ESR実験
Max Planck Institute (Dresden)とKazan physical Tech.Instituteとの共同研究

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