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池田 研究室
電子誘電体RFe2O4    試料作製    薄膜作製・IV測定    物性測定(誘電率・IV)
キーワード :  電子誘電体 RFe2O4

 
池田研では、RFe2O4という希土類(R)を含む鉄の酸化物を扱っています。
この物質は、新しい原理(イオンの並び方でなく電子の並び方)による強誘電体で、この原理を発見したのが池田先生です。

池田研では、良質な試料を作製し、さまざまな条件化での物性測定をしています。さらに、電子デバイスなどへの応用を目指して他の研究室とも協力しています。
 
電子誘電体RFe2O4
RFe2O4は、2組の鉄の三角格子の層(W-layer)と、希土類の層が重なってできています。”三角格子面が2枚重なっている”というところがポイントです。

この結晶中では、鉄はFe2+とFe3+の2種類の電荷で存在しています。Fe2+の隣にはFe3+、Fe3+の隣にはFe2+と並ぶと安定なのですが、格子が三角なので、どうしても安定しません。フラストレーションが溜まった状態になります。

330K〜500Kではフラストレーションが溜まったままですが、330K以下にすると、2枚の三角格子がお互いに影響しあうようになります。
電子が面から面に移動して、片方の面はFe2+、もう片方の面はFe3+が多くなります。すると、2枚の面の間で電気双極子が生じます。

このままでは電気双極子の向きはバラバラなので、物質全体としては電気的に中性です。でも、これに外から電場をかけると、電気双極子の向きがそろって強誘電体になるという訳です。


さらに、スピンの向きに関しても、同じような現象が起こります。230K以下で磁場をかけるとスピンの向きがそろいます。
つまり、230K以下では電荷もスピンも秩序だった状態になります。このように複数の秩序だった性質を持つものを、マルチフェロイック物質といいます。マルチフェロイック物質は、電場をかけて磁化が応答したり、磁場をかけて電荷が応答したりする可能性があります。
 
試料作製
LuFe2O4, YbFe2O4, YFe2O4, ErFe2O4 を作っています。作成時のさまざまな条件で試料の質が変わります。
 
薄膜作製・IV測定
上の装置で作れる試料は、バルクという塊状のものですが、薄い膜も作っています。
同じ物質でも、薄膜にすると異なる物性が現れることがよくあります。
薄膜作製には、蒸着法、PLD(Pulsed Laser Deposition)法などがあります。
蒸着法の場合は化学科の久保園研と協力しており、PLD法の場合は早稲田大学と協力しています。

MBE(Molecular Beam Epitaxy)
試料の温度を上げて蒸発させ、少しずつ基板にのせます。真空中で行うので、沸点が高い物質も低い温度で蒸発させることができます。
 
物性測定(誘電率・IV)