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講演会のお知らせ (12/16:木村崇 氏 (九州大学大学院理学研究院 教授))

講演題目:スピンの流れが織りなす多彩な伝導現象
講師:木村崇 氏(九州大学大学院理学研究院 教授)
日時:12月16日(水)14:30 - 15:30
場所:コラボレーション棟3階 コラボレーション室
要旨:
 電子の持つスピンの自由度を電気伝導に絡めたいわゆるスピン依存伝導現象が、大きな物性応答を引き起こす可能性があるとし注目が高まっている。当初は巨大磁気抵抗効果やトンネル磁気抵抗効果など、スピンの向きで電流を制御するのが主流であったが、近年、電流の向きでスピンの向きを制御することも高い精度で可能となっている。さらに最近では、熱流とスピン流の相互作用に着目した研究も展開されており、熱でスピンを制御、あるいはスピンで熱を制御するなどの実験も検証されている。これらの現象において重要となるのが、スピン流と呼ばれるスピン角運動量の流れに対応する物理量であり、より巨大及び効果的な現象を引き起こすためには、如何に効率的にスピン流を生成・伝搬・検出するかが鍵となる。
 本講演では、最も一般的である金属ナノ構造でのスピン流の振る舞いを中心に説明する。電気的スピン注入法とナノ構造の組み合わせにより、電気の流れを伴わない純スピン流を生成できることを述べ、純スピン流を用いることで微弱なスピン流起因現象を高精度な測定が可能なことを述べる。その後、常磁性金属、強磁性金属、超伝導体体中でのスピン流の振る舞い等について概説し、それらを用いたスピン流の制御法や応用への可能性など、各種現象の将来性に関して俯瞰する。

世話人 安立 裕人(内線7815)