渦糸ダイナミクスと渦糸間多体効果

林 伸彦

* 要旨のうち講演申込に添付した分:

ピニングされたある一方の渦糸の周辺を 他方の渦糸が通過するといった例えばそのような状況 (つまり、渦糸間の相対速度がゼロで無いような状況)を想定し、 ある一つの渦糸の運動における 他のまわりの渦糸がつくる超伝導流 の影響を調べる。

ここでは、渦糸にはたらく横方向のちから(渦糸の速度に垂直な方向のちから) を議論する。

Berry位相の議論の範囲内で渦糸に働くちからを求める。

そこで、渦糸まわりの Bogoliubov波動関数を問題にする。

以前から知られている孤立渦糸の場合とは対照的に、 二つ以上の渦糸(ただしそれらの間の相対速度は有限とする) を考えた場合には、渦糸コアの電子状態(コア近くでの Bogoliubov波動関数)も、渦糸に働く Topologicalなちから(横方向) に影響を及ぼし得るということを議論する。

ここでのポイントは、渦糸まわりの波動関数として、 近似的な解析解(WKBつまり古典近似解)ではなく、 (もし既存の解析解に基づくと 渦糸コアからの寄与は最初から無いことがわかる)、 詳細な数値解を採用することにある。

その観点では、本研究は、渦糸コア電子状態の研究ともいえる。