本研究室への志望を検討している学生への情報 (2017.02)

我々の研究室では、物性物理の華の一つとも言える「超伝導」を中心に「理論研究」を進めています。 また、「スピン流」と呼ばれるスピン(磁気)の流れの物理も研究しています。
4年次の「情報物理学課題研究」には 次のように取組んでいます。大学院入学後の研究室活動にも共通するので、大学院入試で本研究室を志望する場合も参考にしてください。
(1) 物理学の学習について 
 研究に必要な基礎知識として、超伝導および多体量子系に関する理論を学習します。4年生前期から、輪講により、例えば、超伝導のBCS理論など超伝導の微視的理論や超伝導体の物性についての理論などを勉強します。
 大学院進学者については、後期より(大学院M1の時まで) グリーン関数や線形応答理論などの理論物理学を勉強することを推奨しています。これについては、輪読や大学院生との自主ゼミの形式を考えています。また、前期のうちは、大学院入試に向けた物理の勉強も督励しています。

(2) コンピューター利用の理論計算について
 研究に必要な技能となるコンピューター利用について、前期のうちに、数値計算のコンピューターの実習を行います。実習では、基礎的なプログラムの書き方からはじめ、超伝導やスピン流などの将来の研究にも役立つプログラミングへと発展させていきます。また、 第一原理電子状態計算ソフトウエアを利用した計算実習にも取り組みます。

 学生一人一人に、机、ノートPCを用意し、最新の計算用PCを利用できる環境を用意します。

(3) 研究について (4) 研究室の主な研究課題: 超伝導、およびスピントロニクスに関連した理論物理学の研究をしています。

市岡
渦糸や表面など超伝導が空間変化する構造を理論計算し、非従来型超伝導の特徴の出現の様子を解明しています。また、電場誘起表面超伝導の研究や、渦糸の構造やダイナミクスに関するシミュレーション研究も行っています。主な理論計算手法としては、(1)Bogoliubov-de Gennes方程式によるエネルギー固有値と波動関数の計算、(2)Eilenberger理論による準古典Green 関数の計算、(3)時間発展Ginzburg-Landau方程式によるシミュレーションなどがあります。

大成
超伝導転移温度が 高い物質のほとんどは電子間斥力が重要となっている強相関電子系です。強相関電子系の超伝導発現機構や輸送現象を第一原理計算から求めたモデルに基づき解析しています。研究の中心は計算機を用いた数値シミュレーションです。強相関電子系の幅広い物質からターゲットを選んで、超伝導発現機構等の物理を解明します。

安立(あだち)
2007年のノーベル物理学賞は、磁気ハードディスクの小型化に貢献した「巨大磁気抵抗効果(Giant magnetoresistance; GMR)」の研究に対して送られました。この受賞以降、電子の電荷に加えて電子のスピン偏極(またその流れであるスピン流)を積極的に利用する「スピントロニクス」という技術の研究が盛んになってきました。この「スピン流」に着目した新しい物理の研究を行っています。
 スピン流の物理に興味のある方は、たとえば以下の本の2章と3章に目を通してみて下さい: 齊藤、村上 著「スピン流とトポロジカル絶縁体」(共立出版)

Harald O. Jeschke教授(異分野基礎科学研究所に2月より着任)の研究指導を受けたい学生も当研究室を志望してください。



[参考情報:卒業生の進路]
(4年生)
(M2)
(D3)